日常生活やスポーツ中、誰もが一度は経験する可能性がある「ねんざ」。急な痛みや腫れにどう対処したら良いかわからず、不安になったことがある方も多いのではないでしょうか。実は、ねんざは適切な応急処置を行うことで、その後の回復を大きく早めることができます。

この記事では、ねんざが起きた際の基礎知識から応急処置、回復を早める方法、そして再発を防ぐポイントまで、専門家のアドバイスを交えてわかりやすくお伝えします。いざという時に役立つ情報ばかりですので、ぜひ最後までお読みください。

ねんざとは何か?その仕組みと痛み・腫れの原因

ねんざは、靭帯や関節包に急な捻じれが加わり、損傷を受けた状態を指します。損傷部分では「Ia繊維」という神経が刺激され、脳に痛みを伝えます。また、炎症反応によりブラジキニン、プロスタグランジン、ヒスタミンといった物質が放出され、痛みや腫れを引き起こします。

ねんざはどんな場面で起きやすい?リスクの高いシチュエーションとは

水色の花柄ワンピースを着た女性が、膝を押さえながら痛そうな表情で前かがみになっている。室内の白い壁と窓の近くに立っている。

ねんざの90%は足首に起こります。走っているときや方向転換をする際、階段で踏み外したときが典型例です。また、筋肉が疲れているときは関節固有受容器(足の位置を感知するセンサー)が正常に働かなくなり、外反捻挫を起こしやすくなります。

ねんざ発生時に必須!RICE処置の具体的なやり方と注意点

ねんざをしたら、RICE処置を迅速に行いましょう。

安静(Rest)

患部を動かさないようにすることが最優先です。松葉杖やコルセットを使い、患部に負担がかからないようにしましょう。ただし、腰のねんざなどでは長期間安静にすると関節が固まり、リハビリが難しくなることがあります。

冷却(Ice)

氷嚢を使って30分冷却し、休憩を挟むサイクルを繰り返します。炎症がピークを迎える72時間以内は冷却が効果的です。それ以上冷やし続けると組織が硬化する可能性があるため、様子を見ながら判断します。

圧迫(Compression)

包帯で患部を軽く圧迫し、腫れを防ぎます。腫れによる組織の伸びを防ぐことで、回復後の靭帯の強度を保つ効果があります。ただし、強く巻きすぎると血流が悪くなり「フォルクマン拘縮」などの症状が出ることがあるため注意してください。

挙上(Elevation)

心臓より高い位置に患部を上げると、腫れを軽減できます。高い枕を使うなどして姿勢を安定させましょう。ただし、股関節への負担がかからないよう、適宜関節を動かすことも大切です。

応急処置後に注意すべきことと医療機関を受診するタイミング

白い包帯で巻かれた足が、医療施設らしき場所で茶色のタオルの上に置かれている。爪には異なる色や模様のネイルが施されている。背景には青いカーテンが見える。

避けるべき行動

応急処置後に患部を温めると、腫れや炎症が悪化することがあります。また、冷却をする際には動かない状態を確保してから行うことが重要です。

医療機関を受診する基準

腫れがひどく、痛みが増してくる場合、コンパートメント症候群やフォルクマン拘縮が疑われます。特にズキズキとした強い痛みがあるときは、すぐに医療機関に相談してください。

ねんざからの回復を早めるセルフケア方法

痛みと腫れを和らげる方法

リンパの流れを良くするために、末梢から中枢に向けて患部を優しくさすりましょう。揉むのではなく、なでるように行うことがポイントです。腫れが引いてきたら冷却を中止します。

軽度のリハビリ

炎症が治まり始める3日目以降、徐々に関節を動かす練習を始めます。最初の1週間は荷重をかけず、2週目から30%程度の負荷をかけ、可動域訓練を進めます。完全に痛みがなくなったらバランス訓練やジャンプなどのトレーニングを取り入れます。

ねんざの再発を防ぐ!日常的に取り入れたいトレーニングと生活習慣

ゴムチューブを使った運動は、初期負荷を抑えつつ進行に合わせて強度を高められるため効果的です。また、バランスボードを使ったトレーニングは、関節の安定性を向上させるのに役立ちます。目を閉じて行うことで、関節固有受容器の機能がより高まります。

ねんざをサポートするアイテムの選び方と使い方

サポーターは、リハビリ段階に応じて選びましょう。完全に動かさないときは強度の高いもの、少し動かす段階では軽いものが適しています。テーピングには撥水性と伸縮性のあるキネシオテープがおすすめです。適度に引っ張って巻き、必要に応じて2〜3重に重ねると強度が増します。

冷却シートは冷感を与えるだけで実際には組織を冷やせません。湿布は初期段階に限って使い、それ以降は皮膚を傷める可能性があるため控えるのが無難です。

急なねんざでも正しい対応をしよう

ねんざは、誰にでも起こりうるケガです。でも、正しい対応をすれば痛みを和らげて早く治すことができます。この記事の大事なポイントを振り返ってみましょう。

  1. まずは応急処置が大切
    安静にして、冷やして、包帯で軽く巻いて、足を少し高く上げましょう。この「RICE処置」をすぐに始めると回復が早まります。
  2. おかしいと感じたら病院へ
    腫れがひどい、痛みが強い、足が全然動かないときは、すぐに医療機関で診てもらってください。
  3. 自宅でできるお手入れ方法
    痛みが落ち着いてきたら、リンパの流れをよくするために優しくマッサージしたり、軽い運動を始めましょう。
  4. ねんざを防ぐために筋力をつける
    日頃から足首を動かす運動やストレッチを続けて、関節をしっかり守れる足にしましょう。
  5. 道具を上手に使う
    サポーターやテーピングを使うと安心です。冷やすなら氷嚢がおすすめ。冷却シートや湿布は短期間だけ使うのがコツです。

ねんざをしてしまっても、焦らずに正しい対応をすることが大切です。この記事を参考に、いざというときの準備をしておきましょう。