健康のためにも運動はかかせないものです。しかし、仕事や家事で忙しく、なかなか運動をする時間がとれないという人も多いのではないでしょうか。

今回は運動不足による健康被害から、時間がない人でも簡単にできる運動方法などを紹介します。

運動不足が引き起こす健康被害

運動不足が続くと、さまざまな健康リスクが高まります。主なものを紹介するので順番にみていきましょう。

心肺機能の低下

心肺機能の低下は、心臓や肺が十分に機能しなくなることを指し、持久力が低下して日常生活でも疲れやすくなります。

また、酸素摂取量が減少し、血液循環や酸素供給が効率的に行われなくなり、心血管疾患(心臓病や高血圧など)のリスクが上昇します。

筋力・筋肉量の低下

筋力や筋肉量が落ちることで、姿勢が悪化し、腰痛や肩こりといった慢性的な痛みを引き起こしやすくなります。

また、骨への負荷が減るため、骨密度が低下し、骨粗しょう症や骨折のリスクも高まります。

代謝機能の低下

運動不足は基礎代謝を低下させ、脂肪が燃焼しにくくなるため、肥満内臓脂肪の蓄積に繋がります。肥満が進行すると、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病のリスクも増します。

日常生活に取り入れやすい運動

通勤や日常の動作の中で取り入れやすい工夫とエクササイズをご紹介します。

通勤中の工夫

  • 駅やオフィスビルではエレベーターやエスカレーターを避け、可能な限り階段を使うと効果的です。階段を一段飛ばしで上がるとさらに脚の筋肉が鍛えられ、心肺機能も向上します。
  • 一駅手前で降りて歩く少し遠回りをしてオフィスに向かうなどして、通勤にウォーキングを取り入れます。これで1日数千歩を確保できます。

デスクワーク中に取り入れられる運動

  • 椅子に座りながら、両足を揃えて床から少し浮かせ、腹筋を意識して膝を少し曲げたまま上げ下げします。これをシーティング・レッグレイズといい、これで腹筋と大腿四頭筋を鍛えられます。
  • 椅子から立ち上がって再び腰をかける動作を繰り返すスクワットです。通常のスクワットより短時間で済むため、仕事の合間に行いやすいです。

移動時間を活用する工夫

  • 電車の中でつま先立ちをしてみる、あるいは片足立ちを交互に行うなど、下半身と体幹を鍛える動作を取り入れられます。
  • 駐車する際、少し離れた場所に停めることで、ウォーキングの時間を確保することができます。

忙しい方でも、このような方法で日常生活の中に運動を取り入れると、運動の継続が楽になり、健康改善にも繋がります。

ウォーキングは初心者にもオススメ

青空の下、グリーンのスポーツウェアとキャップを身に着けた女性が草原を元気にウォーキングしている様子。爽やかでアクティブなライフスタイルや自然との調和を感じさせるイメージ。

ウォーキングは初心者にも取り組みやすく、継続しやすい運動です。ウォーキングの具体的な効果を解説します。

心肺機能の向上

ウォーキングを習慣化すると、心肺機能が向上し、日常生活での持久力がアップします。特に、少し早めのペースで歩くことで心拍数が上がり、心臓や肺の働きが活発になり、血液循環が改善します。

血圧の安定と心臓病予防

定期的なウォーキングにより、血管が柔らかくなり血圧が安定するため、高血圧予防や心臓病のリスクが軽減されます。特に毎日の短時間のウォーキングでも、血圧の改善効果が見られます

代謝と脂肪燃焼の促進

ウォーキングは軽度から中程度の有酸素運動で、基礎代謝を上げ、脂肪が燃焼されやすくなるため、体脂肪の減少につながります。長時間のウォーキングで、より効果的な脂肪燃焼が期待できます。

HIIT(高強度インターバルトレーニング)の健康効果

HIIT(高強度インターバルトレーニング)は、短時間で心肺機能や体力の向上、脂肪燃焼に高い効果が期待できるエクササイズです。具体的な健康効果について詳しく解説します。

心肺機能の向上

  • HIITは高強度の運動と休憩を短時間で繰り返すため、心肺機能が大きく向上します。全力で動くインターバルが心臓や肺に負荷をかけ、心拍数が急激に上がることで心血管系が鍛えられます。
  • 通常の有酸素運動(ジョギングなど)と同程度、またはそれ以上の効果があるとされています。週に3回のHIITで、持久力が大幅に向上したという研究もあります。

脂肪燃焼効果の向上

  • HIITは短時間でエネルギーを大量に消費するため、脂肪燃焼が効率よく進むことが確認されています。また、運動後も代謝が高い状態が続く「アフターバーン効果」によって、運動後もカロリーが消費されやすい状態が長時間維持されます。

筋力と筋持久力の向上

  • HIITには筋力向上の効果もあります。特に、スクワットやバーピーなどの動作を含むことで、下半身や体幹の筋力が効果的に鍛えられます。また、筋持久力が向上するため、筋肉が疲れにくくなり、日常生活での動作も楽になります。
  • HIITは短い時間での運動ですが、全力で行うため、筋肉への負荷が大きく筋力の向上に寄与します。

自宅で気軽にできる運動とは

自宅のリビングでヨガマットを敷き、パジャマのようなリラックスした服装でオンライン動画を見ながらプランクをしている女性。健康意識やおうちトレーニング、リラックスした雰囲気を表現した写真。

自宅で気軽にできる器具不要で取り組みやすいエクササイズを紹介します。

スクワット

スクワットには、太ももやお尻、体幹の筋肉を強化し、基礎代謝を上げる効果があります。脂肪燃焼と筋力アップに効果的です。

やり方は、足を肩幅に開いて立ち腰をゆっくり下ろし、椅子に座るようなイメージで行います。膝がつま先より前に出ないようにし、背筋をまっすぐ保ちます。

プランク

プランクは、体幹、特に腹筋や背筋を鍛えることができ、姿勢改善や腰痛予防にも役立ちます。

やり方は、うつ伏せで肘をつき体を一直線に保ちながらキープします。最初は20〜30秒から始め、慣れたら時間を延ばしていきます。

ヒップリフト(グルートブリッジ)

ヒップリフトは、お尻や太もも裏を鍛え、ヒップアップや腰痛予防に効果的です。

やり方は、仰向けに寝て膝を曲げ足を肩幅に開きます。お尻をゆっくり持ち上げ、腰から膝までが一直線になるように上げ下げします。

効果的な運動後のケア

運動後の効果的なケアについてご紹介します。

 運動後のストレッチ(クールダウン)

運動後には、静的ストレッチ(ストレッチポジションで数秒~十秒キープするストレッチ)が効果的です。これにより、筋肉をゆっくり伸ばしてリラックスさせ、柔軟性を高めることができます。

ストレッチをするタイミングは運動の直後、筋肉が温まっている状態で行うのが効果的です。10〜15分程度を目安に行いましょう。

アイシング(冷やすケア)

激しい運動後や筋肉痛がひどいときには、筋肉の炎症を抑えるためにアイシングが効果的です。痛みのある箇所や特に負荷をかけた部分を冷やすと、腫れや痛みの軽減に役立ちます。

氷や冷却パックをタオルに包み、10~15分程度、痛む箇所に当てます。直接肌に当てると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルなどで保護しましょう。

軽いマッサージ

筋肉の血行を促進し、疲労物質(乳酸など)の排出を促すことで、リカバリーを早めます。

筋肉の張りを感じる部分を優しく揉みほぐしたり、手のひらで円を描くように軽く押さえます。運動直後や就寝前に行うとリラックス効果もあり、回復が早まります。

運動後のケアを適切に行うことで、筋肉の回復が早まり、次の運動に向けてコンディションを整えることができます。

手軽にできる運動で健康になれる

忙しくて運動する時間がない、どうしても後回しにしてしまう人は、まずは通勤中や仕事中にできる運動をしてみてはいかがでしょうか。

運動を習慣化さえしてしまえば継続することができるので、日常の一部に取り入れて健康を維持できるように努力しましょう。