忙しい現代生活において、睡眠不足は多くの人々が直面している問題ではないでしょうか?良質な睡眠は、心身の健康に大きな影響を及ぼす重要な要素であり、特に女性にとって重要です。

ここでは、睡眠不足が女性の健康にどのような影響を与えるのか、そしてその改善策として鍼灸がどのように役立つのかをお伝えしていきます。

睡眠不足と美容について

若い女性が手鏡を持ち、肌をチェックしている様子。女性はブラウンのセーターを着ており、慎重に自分の肌を見ている。

睡眠が肌に与える影響は大きく、肌のターンオーバーを促しているのは成長ホルモンです。成長ホルモンの分泌は睡眠中に多量に分泌され、睡眠に入った直後から3時間前後がピークといわれています。

ターンオーバーが活発に行われる時刻は22時から深夜2時までといわれていますので、少なくとも深夜12時前には眠りにつけるよう準備しましょう。

必要な睡眠時間は人によって違いますが、睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌量が低下し、ターンオーバーが乱れてしまいます。

睡眠時間の重要性は研究でも発表されています。

60人の女性を睡眠時間が5時間以下のグループと7~9時間のグループに分けて皮膚の老化を評価したところ、睡眠時間が7~9時間と十分に睡眠時間がとれているグループでは、皮膚老化スコア、水分、皮膚バリアの回復、日焼けによる紅斑からの回復がいずれも良好でした

(引用:Clin Exp Dermatol. 2015 Jan;40(1):17-22.

睡眠不足と不妊について

女性のホルモンバランスと睡眠の関係は、非常に密接です。脳はホルモンの分泌を調節し、睡眠不足がホルモンバランスに影響を与えることがあります。

脳は「自律神経系」や「免疫系」の機能もコントロールしており、精神的なストレス、睡眠不足、無理なダイエットなどの影響を受けると女性ホルモンの分泌もひきずられるように乱れてしまうことがあります。女性特有の不眠症に悩んでいる方々にとって、健康的な睡眠習慣を保ち、ホルモンバランスを整えることが不妊予防にもつながります。

鍼灸による睡眠の質の向上効果とは?

安定的に睡眠の質が高い状態を維持するためには脳に与える栄養素や老廃物の除去が大切になり、筋肉の凝りや血液の滞りを鍼灸で整えていきます。

さらには、「鍼通電」という鍼に低周波の電気を流しながら神経や筋肉を刺激する施術方法を使用することで自律神経を整え、リラックス状態が保ちやすくなり入眠がスムーズに行えるようになるでしょう。

実際の施術で得られる効果の具体例

身体の各系統期待できる効果
神経系神経痛(三叉、肋間、坐骨など)、頭痛、歯痛、ヘルペス、顔面神経麻痺、しびれなど
運動器系五十肩、むち打ち症、頸肩腕症候群、腰痛症、ギックリ腰、椎間板ヘルニア、変形性膝関節症、関節炎、リウマチ、肩こり、寝ちがい、筋肉痛、捻挫、テニス肘、腱鞘炎など
消化器系胃炎、胃下垂症、胃酸過多症、胃痙攣、胃・十二指腸潰瘍、口内炎、慢性肝炎、胆石症、慢性腸炎、便秘、下痢、痔疾など
循環器系高血圧症、低血圧症、心臓神経症、動悸、浮腫、冷え性など
内分泌系糖尿病、甲状腺機能障害、痛風など
呼吸器系風邪、扁桃炎、咽頭炎、気管支炎、喘息、咳など
泌尿器系慢性腎炎、膀胱炎、ネフローゼ、前立腺肥大など
感覚器系眼精疲労、仮性近視、白内障、鼻炎、副鼻腔炎、耳鳴り、メニエール症候群、めまいなど
婦人科系生理痛、月経異常、乳腺症、更年期障害、冷え、のぼせ、つわりなど
小児科系小児喘息、夜尿症、夜泣き、かんの虫、消化不良、虚弱など
その他自律神経失調、不眠症、ストレス性疾患、心身症、アレルギー、アトピー性皮膚炎、慢性疲労、成人病の予防など

このように、鍼灸では様々な症状を軽くすることができます。鍼灸の一番優れているポイントは自分の治癒能力を高めることももちろんですが、一人ひとりの身体にあった施術をオーダーメイドで提供できることだと思います。

もちろん上記の表のように全ての症状に対して、治療できる鍼灸師もいますが、最近は専門的な鍼灸院も増えているため、鍼灸院へ行く際にはどんな症状に強いのか調べてから行くのをオススメします。

睡眠の質向上なら「鍼通電」

若い女性がストレッチをしている様子。フィットネスウェアを着て、明るい背景の中でリラックスした表情で腕を上げている。

鍼灸師によって施術方法は変わってくるとは思いますが、頭皮や首をメインにして治療を組み立てていきます。もちろん首が凝っている原因が肩の場合は肩もやりますし、背骨周りも筋肉をほぐすことで自律神経を整えるきっかけとなります。

これだけは絶対に行うのが「鍼通電」です。通常の鍼治療の作用に加え、根本原因の筋肉にからだに害のない低周波を流します。電気を流し、連続的な収縮・弛緩運動を促すことで、より効率的に筋肉へのアプローチができます。

電気が苦手であれば無理には行いませんが、頭皮に鍼通電をすることで自律神経が安定して睡眠の質が一段階上がります。

快眠のためのお家でできるセルフケア

ドラッグストアなどで購入できる「あずきのチカラ」はすごく効果的です。電子レジンで温めたアイピローをそのまま目の上に乗せて使うものなのですが、あずきに含まれる水分が穏やかな蒸気となってじんわりゆっくり温めてくれます。

目と脳は直接、神経を介して繋がっているため、目に刺激を与えることは脳に刺激を与える間接的な方法となります。寝る前の5〜10分だけでもいいので毎日やってあげると睡眠の質が上がって、スッキリ起きられるようになってきたという方も多いです。

それでも改善しない方は身体のどこかに原因があることが考えられますのでぜひ施術にお越しいただくことをオススメいたします。

睡眠の質に関わる3つの悪習慣

若い女性がエクササイズボールに座りながらストレッチをしている様子。彼女はフィットネスウェアを着て、片腕を上げて優雅なポーズを取っている。

1.運動不足

デスクワークなどが多い方は肉体的疲労よりも脳疲労が先に起こります。習慣的に身体を動かすことで安定した深い睡眠が得られ、深い眠りで脳疲労を回復させます。

2.就寝前の飲酒や喫煙、カフェイン摂取

寝る前の飲酒や喫煙が該当するのは意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。アルコールは一時的に寝つきを良くしますが、途中で目が覚めたり眠りが浅くなるなど、睡眠の質が下がります。タバコのニコチンやカフェインには覚醒作用があり、これも睡眠を浅くします。

3.朝、太陽の光に当たらない

起きてすぐに太陽の光を浴びると体内時計のリズムがリセットされ、その15〜16時間後に眠気が起こるといわれています。

また、睡眠の質を上げるためには日中に睡眠をすることはなるべく避けた方がいいと思います。仕事柄、夜勤などがあり日中の睡眠があることは仕方がありませんが、日中の30分を超える睡眠は体内時計のリズムが崩れてしまい、不眠の原因になることが多くあります。

睡眠改善のための生活習慣改善と鍼灸治療

自分でできるケアと専門家の施術やアドバイスを組み合わせることは睡眠の質を向上させるのにとても効果的です。筋肉の凝りや血液の滞りを減らすことは、良質な睡眠に影響を与え、鍼灸施術はこれらの問題を改善するのに役立ちます。

自分でできるケアも大切ですが、限界があるかもしれません。鍼灸院での施術は、身体だけでなく生活面も考慮して行われることが多いです。自分の状態を客観的に知る一つの手段として、ぜひ一度お越しいただければと思います。