耳鳴りやめまいは、日常生活に支障をきたす不快な症状です。「キーンという音が止まらない」「立ち上がった瞬間にふらつく」といった経験をされた方も多いのではないでしょうか。このような症状には、耳だけでなく頸椎や顎関節、血流などさまざまな要因が関わっています。この記事では、耳鳴りやめまいが起こる原因や受診の目安について、専門家の視点で詳しく解説します。日常生活で気をつけたい点も紹介しますので、症状が気になっている方は、ぜひ最後までお読みください。
耳鳴りとめまいの基本
耳鳴りやめまいは身近な症状ですが、その原因や仕組みは意外と知られていません。まずは、それぞれの症状について基本的な知識を見ていきましょう。
耳鳴りの主な症状と原因
耳鳴りは、実際には音がしていないにもかかわらず、耳の中や頭の中で音が聞こえるように感じる症状です。キーンという高音、ザーッという雑音、ブーンという低音など、音の種類や強さは人によって異なります。
耳鳴りが起こる背景には、複数の要因が関わっています。特に、耳へつながる神経に影響を与える頸椎のゆがみや筋肉のこわばり、顎関節の異常は代表的な原因です。また、頻度は少ないものの脳の障害による耳鳴りも存在します。
さらに、血流が低下して耳周辺の神経がうまく働かなくなることも、耳鳴りの一因です。このような全身のバランスの乱れが重なることで、耳鳴りの症状が現れやすくなります。
めまいの主な症状と原因
めまいは、体のバランス感覚が崩れることで起こる症状で、回転性のめまいやふらつきなど、感じ方に個人差があるのが特徴です。実際には動いていないのに、自分や周囲が動いているように感じたり、足元がふらついて立っていられなくなったりすることがあります。
このめまいの発生には、耳の奥にある三半規管と呼ばれる体のバランスを保つ器官が深く関わっています。三半規管は、頭の動きを感じ取って姿勢を調整しており、この働きが乱れると、脳が「体が動いている」と誤って判断し、めまいとなって現れるのです。
さらに、めまいは首や顎の不調によっても引き起こされることがあります。特に頸椎のゆがみや筋肉のこわばりによって平衡感覚に関わる神経や血流が影響を受け、ふらつきが強くなる場合があります。また、ストレスや自律神経の乱れによって、三半規管の働きが不安定になることも、めまいが起こりやすくなる一因です。
耳鳴りとめまいが同時に起こる場合

耳鳴りとめまいが同時に起こる場合は、身体の機能バランスが大きく乱れている可能性があります。ここでは、両方の症状が同時に起こる原因と、早めの判断につながる受診の目安について解説します。
よくある原因(ストレス、疲労、血流の問題など)
耳鳴りとめまいが同時に起こる場合は、以下のような病気が考えられます。
- メニエール病
内耳のリンパ液が増えすぎて圧が高まり、聴力低下・耳鳴り・強いめまいが繰り返し起こる病気です。「耳が詰まる感じ」「低音の聞こえにくさ」が前兆として現れることがあります。
- 前庭神経炎の一部ケース
前庭神経が炎症を起こし、平衡機能が乱れる疾患です。通常はめまいのみの症状ですが、炎症が広がると耳鳴りや耳の違和感が同時に起こる場合があります。
- 内耳炎(迷路炎)
ウイルスや細菌の感染で内耳が炎症を起こし、耳鳴り・難聴・激しいめまいが同時に生じます。多くの場合、発熱や強い倦怠感を伴います。
- 内耳の血流障害(突発性難聴を含む)
突然の耳鳴りとめまい、片耳の聞こえにくさが急に出る場合は、突発性難聴の可能性があります。
これらの症状に心当たりがある場合や不安を感じるときは、自己判断せず早めに医師へ相談することをおすすめします。
耳鳴りとめまいが同時に起こるときの注意点
耳鳴りやめまいが続く場合は、脳神経の異常が関与している可能性に注意が必要です。ろれつが回らない、足がふらつく、力が入りにくいなど、日常的な動作に支障が出る症状があるときは、脳の異常を疑う必要があるため、できるだけ早く脳神経外科を受診することをおすすめします。
脳神経外科で重大な異常がないと判断された場合は、耳鼻咽喉科などほかの診療科の受診が必要かどうか、医師の指示を仰ぐとよいでしょう。
耳鳴りやめまいが続くときの対応

耳鳴りやめまいが起こったとき、まずどの診療科を受診すべきか迷う方は多いでしょう。ここでは、症状に応じた適切な受診先と、診察を受ける際に医師へ伝えるべきポイントをわかりやすく紹介します。
受診する診療科
耳鳴りやめまいの多くは、耳の奥にある内耳や前庭のトラブルが原因です。そのため、次のような症状があるときは耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう。
- 耳鳴りが続く
- 回転するようなめまい
- 耳が詰まる感じ
- 聞こえにくさがある
- 繰り返すめまい
- 突然の耳鳴りとふらつき
耳鼻科では、聴力検査や平衡機能検査、必要に応じて画像検査を行い、メニエール病・内耳炎・前庭神経炎・突発性難聴などを診断できます。
一方で、以下の症状がある場合は、耳ではなく脳の異常が関わっている可能性があります。
- 手足のしびれや力が入りにくい
- ろれつが回らない
- 顔のゆがみが出る
- 立てないほどの激しいふらつき
- 今までにない強い頭痛
- 意識がぼんやりする
このような症状は脳卒中や脳腫瘍などのサインである可能性があり、早期の診察が非常に重要です。同じような症状が出た場合は、できるだけ早く脳神経外科や救急外来を受診しましょう。
受診時に医師に伝えること
診察を受ける際には、症状の詳細を医師に正確に伝えることが大切です。特に、めまいの種類について説明することが診断する際の重要な手がかりになります。受診時に医師に伝えるべきポイントは次のとおりです。
- めまいの頻度(毎日・週に数回・突然 など)
- 持続時間(数秒・数分・数時間 など)
- 症状が悪化する状況(疲れたとき、寝不足、ストレス、音・光 など)
- 同時に起こる症状(耳鳴り、吐き気、耳の詰まり感 など)
このほかに、回転するようなめまいなのか、それとも揺れるようなめまいなのかといった種類も、可能な限り詳しく伝えるとよいでしょう。
耳鳴りやめまいの予防と対策

耳鳴りやめまいを予防したり、症状を悪化させないためには、日常生活での対策が欠かせません。ここでは、すぐに取り入れられる対策を紹介します。
日常生活で気をつけること(睡眠、食事、ストレス管理)
耳鳴りやめまいを予防するためには、日常生活での習慣を整えることが大切です。まず、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を確保することが基本です。特にストレスは症状を悪化させやすいため、リラックスできる時間を意識的につくるなどのストレス管理が予防につながります。
また、片方の顎だけで噛む癖がある場合は、左右均等に噛むように意識することも大切です。同じ耳ばかりで電話を聞き続けるなど、一部の部位に負担が集中する習慣も避けることで、耳周辺の筋肉や神経への負担を減らせます。
自分でできる簡単なケア
自宅でも、顎や首の緊張をゆるめて血流や神経の負担を減らし、耳鳴りやめまいの起こりにくい状態をつくるケアが可能です。
簡単な方法として、耳の後ろを上の方へ軽く引っ張るストレッチがあります。このストレッチは顎の筋肉をゆるめる効果があり、手軽に取り入れられるのが魅力です。
また、足の薬指と中指の間の筋をほぐしたり、足全体をマッサージしたりすることも、顎まわりの緊張を間接的にほぐせます。これは、筋膜が足から顔までつながっているため、足の緊張をゆるめることで顎の負担も軽減できるからです。
顎の筋肉を直接マッサージする方法もありますが、顎周りは繊細な部位なので、必要に応じて専門家に相談しながら行うとよいでしょう。いずれの方法も無理のない範囲で、自分に合ったケアを取り入れることが大切です。
症状が続く場合の対応
受診しても大きな異常がなく、医師の治療やセルフケアだけでは改善が難しい場合は、整体などの手技療法を補助的に取り入れてみるのも一つの方法です。筋肉のこりをほぐし、首や姿勢のバランスを整えることで血流や神経の働きが安定し、耳鳴りやめまいの負担軽減につながることがあります。さらに、体全体のバランスを整えるオステオパシーなどの手技療法を組み合わせることで、より改善が期待できるケースもあります。まずは医療機関で診断を受け、そのうえで自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。
耳鳴りやめまいと上手に付き合うために
耳鳴りやめまいは、頸椎や顎関節の問題、血流障害など、さまざまな原因によって引き起こされます。症状が続く場合や急に悪化した場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診することが大切です。そのうえで、症状の改善が難しい場合は、整体などの専門家に相談してみるのも選択肢のひとつです。体の構造に詳しい施術者に相談することで、筋肉や姿勢のバランスが整い、症状の軽減につながるケースもあります。自分に合ったケアを上手に取り入れながら、無理なく症状と向き合っていきましょう。
