「美容師」という仕事には、人を笑顔にする力があります。髪型が変わるだけで気分が前向きになったり、自分に自信を持てるようになったり。そんな魔法のような瞬間をつくるお手伝いができるのが、美容師という職業の大きな魅力です。

また、好きなことを仕事にしたいと思っても、実際に行動に移すのは勇気がいるものです。

今回は、私自身が美容師を目指したきっかけや、仕事を続けていく中で感じた苦労・喜び、そして「夢を仕事にする方法」について、リアルな体験を交えながらお話しします。これから美容師を目指す方の背中を、少しでも押すことができたらうれしいです。

美容師を志したきっかけ

私が美容師になろうと決めたのは、中学生の頃です。もともとファッションに興味があり、雑誌を眺めたり流行を追いかけたりするのが楽しくて、仕方ありませんでした。

その延長で「髪型を変えることでこんなに印象が変わる」と気づき、美容の世界に強く惹かれていきました。

当時はただの好奇心からでしたが、次第に「自分の手で誰かを変えられるってすごい」と感じるようになり、美容師という職業を意識し始めました。誰かに憧れたというより、自分の興味から自然と導かれたような気がします。

働き始めた頃に直面した困難

美容師が手にハンドクリームを塗ってケアしている様子。日々の施術で酷使する手を大切にする姿勢を表したイメージ。

美容師として働き始めた最初の頃、一番つらかったことは手荒れでした。私は肌が弱いこともあり、毎週のように病院に通っていたほどです。手が荒れるとシャンプーや薬剤を扱うのもつらくなり、「このまま続けられるのかな」と不安に思ったこともありました。

でも、美容師をやめたいと思ったことはありませんでした。乗り越えるというよりは、手荒れと上手く付き合っていく感覚で工夫を重ねてきたんです。ハンドクリームや手袋の使い方を試行錯誤したり、無理をしないようにケアを優先したり。完璧に治ることはなくても、自分なりに付き合い方を見つけたからこそ続けられたのだと思います。

私が実践した手荒れとの付き合い方をまとめたので、参考にしてください。

手荒れとの付き合い方

  • 毎日の手洗いや薬剤使用後の保湿を徹底
  • 完全に治すことは難しいため付き合っていくと意識を切り替えて、無理に治そうとしない
  • 症状に応じて作業手順や手袋の使い方を工夫

アシスタントからスタイリストへ

アシスタント時代は、毎日が学びの連続でした。シャンプーやカラー、ブローなどの基礎技術を身につけるだけでなく、どうしたらお客様に気に入っていただけるか、接客にも力を入れる必要があります。

ここで、お客様に気に入られるために必要なポイントを3つ紹介します。

  • お客様との会話を通じてニーズを引き出す
  • ヘアスタイルの提案力を磨く
  • 施術中の細かい気配りや快適さを意識

その中で自分の成長を実感できたのは、お客様に名前や顔を覚えていただけた瞬間です。初めて「前回のカラー良かったです」と声をかけられたとき、美容師として認めてもらえたと強く感じました。この経験が、さらなる成長へのモチベーションになったのです。

また、技術面でも試行錯誤を重ねました。最初はカットに時間がかかり、うまく仕上がらないこともありました。しかし、先輩にアドバイスをもらいながら練習を重ねることで、少しずつ自信がついたのです。

美容師になってよかったと思える瞬間

美容師として働く中で、やはりお客様からの「ありがとう」という感謝の言葉が一番のやりがいです。

また、施術後に見せてくださる笑顔や「また来ます」と言ってもらえる瞬間、お客様にスタイルを褒めてもらえたときにもすごく美容師になってよかったと感じています。毎日の小さな積み重ねですが、その一瞬一瞬が「この仕事を選んでよかった」と思える原動力になっています。

さらに、リピーターのお客様が増えることで、自分の成長を実感できるのも魅力です。信頼して任せてもらえることは、美容師としての自信につながります。

モチベーションを維持する工夫

花に囲まれた道をスーツケースを引きながら歩く女性。旅行の体験を通じて、美容師として自分をアップデートする姿をイメージ。

美容師は毎日が忙しく、ルーティンの繰り返しになりがちです。そんな中で仕事を楽しみ続けるために意識しているのは常に自分をアップデートすることです。

技術やトレンドの情報収集はもちろんですが、それだけではなく旅行や趣味で得た体験も大事にしています。自分が見て感じたことをお客様との会話や提案に活かすと、より新鮮な気持ちで仕事に取り組めるんです。

自分らしい働き方を見つける

若い頃は「たくさんのお客様を担当して、たくさん稼ぐ!」という気持ちが一番強かったです。でも年齢を重ねる中で、考え方が少しずつ変わってきました。

今は「無理をしない範囲でしっかりと収入を得ながら、お客様一人ひとりに丁寧に向き合う」ことを大切にしています。営業日数や拘束時間をコントロールし、自分の体調や生活とのバランスをとることがポイント。それが長く美容師を続けるために欠かせないと実感しています。

美容師の仕事は不規則で体力的にもハードですが、健康を第一に考えながら働くことが自分らしい働き方につながっているのだと思います。

美容師を目指す方へのアドバイス

美容師の卵がウィッグを使ってカット練習をしている様子。講師の指導を受けながら技術を磨く姿を表現したイメージ。

美容師を目指す方に伝えたいのは結果に焦らないことです。成長のスピードは人それぞれで、他人と比べて焦ってしまうこともあるかもしれません。

結果がすぐに出ないのは、決して努力不足ではなく、単に方法の違いかもしれません。諦めずに続けることで、必ず成果はついてきます。

特に初心者のうちは、効率的な練習方法や技術習得の順序を意識することで、無駄な時間を減らし、成長を実感しやすくなります。

たとえば、シャンプーやカットの基本動作を丁寧に繰り返すことや、お客様との接客マナーをひとつひとつ確認することが、後々大きな差につながります。地道な努力を積み重ねることで、技術力だけでなく信頼も築けます。焦らず自分のペースで進むことが、長く美容師として活躍するための大切な秘訣です。

続けてきて実感したこと

美容師という仕事は続けること自体が大変です。正直に言うと、私自身も途中で投げ出したくなった時期がありました。夜遅くまでの練習やお客様対応のプレッシャーに押しつぶされそうになったこともあります。

ですが、振り返ってみると続けてきたからこそ今があると胸を張って言えます。継続する才能は誰にでもあるものではないかもしれません。それでも、小さな積み重ねが必ず結果につながるのが美容師という仕事です。

たとえば、毎日の練習で少しずつ上達していく自分の姿や、お客様からの「あなたにお願いしてよかった」という言葉が自信とやりがいにつながります。

今でも美容師を続けてきてよかったと思える瞬間があるからこそ、これからも前を向いていけると感じています。そしてその経験は、技術だけでなく人としても成長させてくれる大切な財産だと実感しています。

夢を仕事にする方法

美容師を目指すきっかけは人それぞれですが、大切なのは続けること自分なりの働き方を見つけることだと思います。

技術を磨くことはもちろんですが、お客様とのコミュニケーションや信頼関係も大切です。苦労もありますが、その分お客様からの「ありがとう」や「また来ますね」の言葉はかけがえのない宝物です。

夢を現実にするには努力が必要ですが、努力を続けていけば必ず形になります。これから美容師を目指す方も、すでに美容師として歩み始めた方も、自分らしいペースと自分らしい方法で夢を追いかけていってほしいです。