ペットは私たちの家族の一員。その健康と幸せを願うからこそ、「毎日の食事」に気を遣う飼い主さんは年々増えています。近年では、栄養バランスや添加物を気にして「手作りごはん」に挑戦する方も多い一方で、手軽さや信頼性から「市販フード」を選ぶ方も少なくありません。でも実際、どちらが本当にペットにとって良いのでしょうか?

この記事では、手作りごはんと市販フード、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすくご紹介しながら、飼い主さんのライフスタイルやペットの体質に合った「食の選び方」を考えていきます。

手作りごはんのメリット

手作りごはんのメリットについて見ていきましょう。

原材料を把握できる

飼い主自身が食材を選ぶため、添加物・保存料・人工香料などを避けることができます。また、ヒューマングレードの食材を使えるのも魅力です。
アレルギーや食物不耐性のあるペットにも、安心して対応できます。

ペットの体調や年齢に合わせた食事ができる

病気や体質、年齢に合わせて、栄養バランスや食感を調整できます。
食欲が落ちている時も、好みに合わせて工夫が可能です。

食事を通して健康管理ができる

便の状態や食いつきの変化から、体調の変化に気付きやすくなります。
日々の食事作りを通して、ペットとのコミュニケーションや愛着も深まります。

アレルギー対策がしやすい

市販フードでは特定の成分を完全に避けるのが難しいですが、手作りなら完全除去も可能です。

手作りごはんを作るときに気をつけなければいけないポイント

皿の上のマスカットを見つめる灰白の猫。ブドウは食べたくなさそうな表情。

手作りごはんを作るときに気にするべき点を紹介します。

NG食材に注意

ペットにとって有害な食材は意外と多いです。例えば玉ねぎ・ねぎ類・チョコレート・ぶどう・レーズン・アボカド・鳥の骨などは中毒の原因になります。

味付けはしない

味付けも基本的にはしません。塩分・糖分・香辛料は避けましょう。

加熱調理が基本

  • 多くの食材は加熱して消化しやすくするのが基本です。
  • 生肉や生魚は衛生面や寄生虫のリスクもあるため、知識がない場合は避けましょう。

栄養バランスを崩さないこと

  • 人間のように毎食を完全にバランスよくするのは難しくても、1週間単位で栄養が整うよう意識するとよいです。
  • 特にカルシウム・リン・ビタミン・ミネラル・タンパク質のバランスが大切です。
  • 犬と猫では必要な栄養素が異なります。例えば、猫はタウリンが必須なので気を付けましょう。

市販フードのメリット

つぎは市販フードのメリットについて見ていきましょう。

栄養バランスがしっかり設計されている

  • 総合栄養食として販売されているフードは、犬や猫に必要な栄養素が適切なバランスで含まれているため、基本的にそれだけで健康を維持できます。
  • 特別な知識がなくても、安心して毎日与えられるのが大きな利点です。

衛生・保存面で安定している

  • 厳格な品質管理が行われており、食品衛生や安全性が安定です。
  • 保管方法も簡単で、冷蔵や調理の手間が不要です。

手間がかからず便利

  • 開封してすぐに与えられるので、忙しい日常でも手軽に与えられます。
  • 長期保存ができるため、買い置きしておくと災害時にも役立ちます。

獣医師や栄養学の専門家が監修している商品が多い

  • 信頼できるメーカーのフードは、最新の栄養学・臨床データに基づいて開発されています。
  • 持病があるペット用の「療法食」も豊富に用意されています。

コストパフォーマンスが高い

  • 特にドライフードは、まとめ買いすると非常にリーズナブル。
  • 手作りで同じカロリーや栄養素を手作りで揃えると、市販フードに比べて食材費が割高になることが多いです。

市販フードを選ぶ際にチェックすべき点

市販フードを選ぶ際に気にするべき点を紹介します。

原材料をチェックする

  • 主原料が「肉」や「魚」など、動物性たんぱく質から始まっているかがポイント。
  • 「ミートミール」「副産物」など曖昧な表記が多いものは避けた方が無難です。
  • 穀物アレルギーがある子には「グレインフリー」も選択肢になります。

製造元や原産国の確認

  • 原材料の産地や工場の情報を開示している企業は信頼性が高めです。
  • 長年の実績があるメーカー、獣医師やペット栄養士と連携しているメーカーなどが安心です。

ライフステージや体質に合っているか

  • 「子犬用/成犬用/シニア犬用」など、年齢に合わせたフードを選ぶことが大切です。
  • 太りやすい、アレルギーがある、尿路トラブルがあるなど、体質・持病に合った専用フードもあります。

「総合栄養食」であるか確認する

  • ペットの主食にするなら「総合栄養食」と表示されたものを選びましょう。
  • 「一般食」「間食」「副食」などは、それ単体では栄養が足りません。

手作りごはんと市販フードのどちらが向いているかの見極め方法

クローバーの咲く草原で並んで座り、舌を出して笑顔を見せる2匹の犬。

市販フードと手作りご飯は、それぞれに向いているケースがあり、ペットの体調や性格、飼い主さんのライフスタイルによって、どちらが合っているかが変わってきます。

市販フードが向いているケース

毎日の食事にあまり手間をかけられない方や、忙しい生活の中でも安定した栄養を確保したい方です。市販フードは、総合栄養食として設計されているものが多く、これだけで必要な栄養がほぼ補えるというのが大きなメリット。また、長期保存ができるため、災害時の備蓄や旅行などにも便利です。さらに、多頭飼育の場合やコストを抑えたい時にも、市販フードは非常に現実的な選択肢となります。

手作りごはんが向いているケース

アレルギーや持病があって市販フードに対応できないペットや、年を取って消化や咀嚼が難しくなってきた子たちです。また、食欲にムラがあるペットの場合でも、香りや食材を工夫して食いつきを良くすることができます。毎日の食事を通して「しっかりケアしてあげたい」「愛情を感じてもらいたい」と考える飼い主さんにとっても、手作りご飯はとても魅力的な選択です。

必ずしもどちらか一方を選ばなければならないわけではありません。最近では、市販フードをベースに、手作りのトッピングを加えるハイブリッドスタイルも人気です。これにより、栄養バランスの安心感と手作りの良さのいいとこ取りが可能になります。

手作りごはんを無理なく続けるコツ

手作りごはんを無理なく続けられるコツを紹介していきます。

無理なく続けられるコツ

  1. 市販フードに手作りトッピングするだけの、気軽に始められるものがオススメです。
  2. 週に1.2回手作りごはんを作ってみましょう。
  3. 手作りに慣れてきたら、作り置きや冷凍を活用して負担を軽くしましょう。 

初心者にお勧めのレシピ

スープに市販のフードを混ぜる、鹿のミンチ肉をトッピングするだけのような気軽にできるレシピがオススメです。

ペットの健康を守るために共通して大切にしたい考え方

3種類の猫用フードが入ったボウル。ドライフードとウェットフードの組み合わせ。

手作りでも市販フードでも共通して大切にしたい考え方はどのようなものなのでしょうか。一緒に見ていきましょう。

「その子に合っているか」を常に意識すること

ペットには一頭一頭、体質・年齢・生活環境・好みがあり、「万人向けの正解」はありません。どんなに良いと評判のごはんでも、その子にとって合っていなければ意味がありません。

だからこそ、「愛犬・愛猫自身の体調をよく観察する」ことが基本です。食いつき、便の状態、体重、毛艶、元気の有無など、日々の変化に敏感になりましょう。

安全性に気を配ること

手作りなら食材の新鮮さや調理法、市販フードなら保存状態や原材料の確認が重要です。いずれにしても、「安心して食べられるものを選ぶ」という意識が大切です。

ペットの暮らしに合ったペットフードを選ぼう

ペットのごはんには、手作りにも市販フードにも、それぞれに魅力と注意点があります。

手作りごはんは、愛情や個別対応のしやすさが魅力ですが、栄養バランスや手間には注意が必要です。

一方、市販フードは手軽で安定した栄養を与えられますが、選ぶ際には原材料や品質をしっかり見極めることが大切です。

大切なのはその子に合っているかどうかを考えて選ぶことです。食事は、ただお腹を満たすだけでなく、健康と信頼関係を育む大切な時間です。市販フードだけでも、手作りを取り入れても、飼い主さんの「この子に健康でいてほしい」という想いが何よりの栄養になるはずです。

あなたとペットの暮らしに合った、無理のないごはん選びをしていきましょう。